不動産取引における「心理的瑕疵」とは・・・・?

心理的瑕疵とは・・・取引対象に関して、過去に事故・事件が起きた場合の「心理的な観点」からの「物の欠陥」を言います。

賃貸管理では、自殺等によって、賃料の逸失利益や原状回復費において、賃貸人から連帯保証人等に対して損害賠償請求がなされることが問題となります。賃貸の場合、賃借人は「善良な管理者の注意をもって物を管理する義務」があり、自殺などの行為があると、物の価値が減少するため、その保管義務違反にあたると、賃借人がその損害賠償をしなければならない場合があるのです。(賃借人が死亡している場合はその相続人・保証人が賠償しなければなりません。)その場合、賠償する側にとって、精神的・財産的に大きな負担となることは間違いないでしょう。

♦心理的瑕疵に該当するかどうかの判断とは・・・

住み心地が悪いと感じることについて、一般人からみて、合理性があるといえる場合にはじめて心理的な瑕疵が認められます。

♦心理的瑕疵にあたるとされる事象とは・・・

自殺・殺人・風俗営業として使用されていた物件・火災発生物件・土地に大量の廃棄物埋設・反社会的宗教団体のアジトとなっていた物件

♦心理的瑕疵にあたらないとされた事象とは・・・

振込詐欺の送付先としての貸室物件・液状化危険度マップに記載物件・建築工事のコア抜き物件・債務整理のための任意売却物件

♦心理的瑕疵ではなくなるまでの期間とは・・・

過去の事故・事件の印象の強さや取引の種別によって異なりますが、例えば、売買では自殺から7年経過していた物件が瑕疵でなくなるとした事例があります。賃貸借についてみると、共同住宅内での自殺に関しては①1年間は賃貸できない②次の2年間は賃貸できるが賃料は半額③3年経過すると影響が消滅するという判例が多いようです。

※あくまで判例の一部です。実際はその事案・状況により大きく異なる場合もあります。

不動産取引業者として、このような「心理的瑕疵」についても、買主・借主様に安心してお取引いただくために、重要事項説明のなかでお伝えし、難しい判断になる事案もありますが、適切な対応を心掛けております。